補足資料はゼミの際には配布していません。「高反射高放射塗料の経時変化に伴う推定反射率の算出式」に関するものです。
建築物の冷房需要低減および都市におけるヒートアイランド現象緩和策として,高アルベド化,つまり高反射高放射塗料の導入が注目されているが,高反射高放射塗料を実際に導入した場合の反射率の劣化の計測はほとんどおこなわれていない.そこで著者らは,東京都文京区の東京大学構内に試験体を設置し,高反射高放射塗料を塗装することで,反射率に関する屋外曝露実験をおこなった.
計測された放射量より反射率を解析するにあたって,試験体表面のような非理想反射面でない場合,そのまま算出すると反射率が低く算出されてしまうが,本研究では,日射を直達日射と一様な天空日射とに分離し,それぞれについて光線追跡法を用いることにより,反射形態をできるだけ理想状態に近づけることを試みた.
さらに,一般的な関数によって記述することを試みた.その結果,反射率は緩やかな推移をもって劣化していることがわかった.塗料の寿命を考慮すると,本研究の推定結果は既往の研究結果とほぼ合致し,初期の反射率が0.91である高反射高放射塗料は平均して0.7-0.8程度の反射率を持つことが確認された.